2025年9月撮影:北海道のとある森
2025年9月撮影:北海道のとある森

9月のある日、GR IIIを片手に森を歩いた。

木々の間からこぼれる光はやわらかく、

夏の名残と、秋の気配が静かに混ざり合っていた。


森には、きおくがある。

けれどそれは、人間のように言葉で残されるものではない。

動物によって削られた木の幹、

倒れてなお苔に覆われた倒木、

光を求めて伸びた一本の枝。

そのすべてが、森の記録だ。

長い時間の中で、森は失ったものを嘆かず、

ただ新しい命を受け入れていく。

それは忘却ではなく、“変化という名の記憶”なのだと思う。

自然は、意識をもたない巨大な記憶装置だ。

人間の記憶は形を失いやすいけれど、

森の記憶は、いつも目の前に、確かに在る。

カメラを向けるたびに思う。

撮っているのは風景ではなく、

この地に積もった、時間そのものなのだと。

2025年9月撮影

小さなカメラが捉えた光の中に、

森が生きてきた時間の層が、

そっと浮かび上がるような気がした。

投稿者 高橋 レオ

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