マクロレンズで撮影したマメコガネ。
夏草の奥で何気なく見過ごしてしまいそうな小さな甲虫だ。
だが緑と銅のメタリックな体を持ち、
花や葉をむしゃむしゃとかじる姿は昆虫好きにはたまらない魅力がある。
札幌の山でオオイタドリの花が咲き乱れるころ、
花茎に群がる無数のマメコガネを見かけた。
花粉をまとった触角を振り回し、
雄花と雌花の間を忙しなく移動しながら甘い花蜜に夢中になっている。
彼らは雑食で、幼虫は土の中で草の根を食べ、
成虫はバラ科など様々な植物の葉をかじるが、オオイタドリの花に群がる様子は独特だ。
どうやら蜜や花粉を摂る姿勢が安定するよう。
花にしがみつきながら口を伸ばす姿は愛らしい。
日本ではごく普通に見られる昆虫だが、
海外では「ジャパニーズビートル」として知られ、外来種として扱われている。
20世紀初頭にアメリカに渡り、
天敵の少ない環境で大繁殖した結果、
芝生や農作物に被害を与える害虫として警戒されている。
緑の甲羅と銅色の翅という派手な見た目が園芸植物とよく映える反面、
サクランボやバラの葉をレース状に食い荒らすため駆除の対象となり、
誘引トラップや農薬で管理されている。
それでも夏の北海道でオオイタドリの花に集まるマメコガネたちは、
そんな悪評からは程遠い。
陽差しを浴びて輝く甲虫たちはただ食べることに夢中で、
ふっくらとした翅とつぶらな目はどこかぬいぐるみのようだ。
彼らにとっては生きることこそがすべて。
花粉まみれの姿で夏の花を堪能する姿を眺めていると、
昆虫も私たちも同じく季節の流れに身を任せているのだと感じる。
この夏の記憶を、カメラ越しにそっと閉じ込めた。
その一瞬に宿る命の輝きは、等しく美しいと思う。

