ここ数年、
ナツアカネを見かける回数が、はっきり増えた。
「気のせいかも」で済ませられる感じじゃない。
同じ場所、同じ時期、同じ歩き方で森や湿地を見ていて、
それでも数が違う。
どう考えても、増えている。
たぶん理由は単純で、
夏が、ナツアカネ向きになってきたんだと思う。
北海道の夏は、確実に暑くなった。
昔なら短かった夏が、いまはじわっと長く続く。
その変化は人間より先に、
トンボのほうが正直に受け取っている。
ナツアカネは、山へ逃げない。
低地に残って湿った空気の中で、
そのまま夏を生きる。
だから夏が長くなればなるほど、条件が噛み合ってくる。
赤とんぼという言葉の中には、
どこか「衰退」や「懐かしさ」がまとわりつくけれど、
ナツアカネは、いまの北海道で
ちゃんと現在進行形になっている。
ただ変わった、ということ。
北海道の空気が少しだけ別の方向へ舵を切った結果として、
この小さなトンボが数を増やしている。
大きな声で語られない変化が、
静かに積み重なっている。
ナツアカネは、そのことを教えてくれる存在だ。
だから今年は、ただ綺麗だから撮るではなくて、
「増えている今」をちゃんと写しておきたいと思った。

未来に向けての記録として。
