(Callosamia promethea)。
北海道の夏の森を歩いていると、
ふっと青緑色の大きな幼虫が歩いていることがある。
それは大抵、オオミズアオか、クスサンの終齢幼虫だと思う。
クスサンの幼虫は、脱皮を重ねるごとに色を変え、
終齢になると独特の青緑色になる。
食べる木はとても多い。
ミズナラ、カシワ、サクラ、ウツギ類など、
落葉広葉樹の葉ならほとんどを利用する。
この食性の広さが、
クスサンが日本の広い地域で見られる理由の一つだ。
やがて硬い繭をつくり、
出てくる成虫は、幼虫の鮮やかな色とは対照的に、
淡い褐色の羽をまとっている。
大きな蛾だがこのように手に乗せても刺されることはなく、毒もない。
芋虫の中で気をつけた方がいいものは、カレハガの仲間と、ドクガの仲間。
それ以外の芋虫には、ほとんど害はないので、
知っておくと世界が少し、優しく見えたりもする。

